損失を限定する投信
フロア水準を設け、投資リスクを一定水準に抑える資産保全型商品が売れているそうです。
アムンディ「あんしんスイッチ」、設定額が600億円超でバランス型として約10年ぶりの大型設定(モーニングスター)
投信の基準価額の90%の水準にプロテクトラインを設定し、プロテクトラインは割らないように運用する、仮にそこまで下がると自動的に償還される仕組みです。プロテクトラインは基準価額とともに切りあがっていくので、FXで言うところのトレイリング・ストップをイメージするといいかもしれません。
詳しい内容はYahoo!でググってどうぞ。
アムンディ・ジャパンが設定する『あんしんスイッチ』と『ダブルウォッチ』
http://www.amundi.co.jp/fund/focus/protect_series.html
http://www.amundi.co.jp/fund/focus/double_watch.html
プロテクトライン近くでのデメリット
最大損失が限定されていることで安心感があるのはよくわかります。しかし、よくよく見ると投資商品として微妙な感じです。
プロテクトラインに水準に近づくと、株式の比率を落とし、キャッシュや債券の比率を高めて保守的な運用を行います。
「プロテクトラインに抵触しないように」という狙いですが、これはその後の基準価額の回復を妨げることになります。なぜなら株式市場の下落後のリバウンドにまったく付いていけなくなるからです。
基準価額が下落して、プロテクトラインに近づいて、株を減らして債券を増やして…。その後、株価上昇局面でも基準価額の回復が鈍くなります。プロテクトライン近くでは債券とキャッシュ中心での運用にもかかわらず1.2%以上の信託報酬がかかるという…。手数料でじりじり削られていくパターンに陥ります。
もちろん、更なる株式市場の下落も考えられますので、その時はプロテクトラインを意識した運用が機能するわけです。
なぜ売れるか?
と、言いがかりを付けてきましたが、投信としてヒット商品になっているのは事実。なぜ売れるのか? それは「売りやすい」という理由に尽きるでしょう。特に今まで投資をしたことが無い人にとっては損失が限定されているというのは安心できるでしょう。
『○○様、投資を始めるにあたり、「損をしないか」とご心配になるのは当然のことかと存じます。こちらの商品はたとえどんなに損失が出たとしても投資金額の1割です。初心者にぴったりです』
というセールスが繰り広げられているのではと勝手に妄想しています。