サイゼリヤ 価格の半分はデリバで出来ています

金融市場の話
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イタリアン・ファミリーレストラン 『サイゼリヤ』。たびたび「デートでファミレスはありか?」論争の的にもなるサイゼリヤ。一人飲みのコスパ最強でたびたび名を挙げるサイゼリヤ。イタリア人も「…美味っ!」とびっくりするサイゼリヤ。たまに無性に食べたくなります。カプレーゼ、サラミ、小エビのカクテルサラダ、バッファローモッツァレラピザ。

そんなサイゼリヤですが、過去に為替のデリバティブで大損をやらかしているのをご存知でしょうか? 今更傷をほじくり返すのもアレなのですが、昔のブログでも3度にわたって取り上げているのでサルベージさせてください。サイゼリヤ関係者がいたらごめん。話は2008年にさかのぼります。

デリバティブ評価損発生見込みに関するお知らせ

1.デリバティブ評価損発生見込みの理由
当社単独において、平成20年11月末の為替レートが、未曾有の金融危機に起因する為替
相場の変動により、平成20年8月末に比べ、大幅な円高となる予想から、営業外費用として、
デリバティブ契約から多額のデリバティブ評価損が発生する見込みであることが判明いた
しました。
2.上記デリバティブ契約にかかるデリバティブ評価損発生見込みの内容

デリバティブ評価損見込み額 約 140 億円

ちなみにこの損失額、当時のサイゼの営業利益2年分。(;゚д゚)ゴクリ…。2年間、一生懸命に店舗を運営して安価でおいしい料理を提供して、やっと手に入れた利益を(略

サイゼはオーストラリアからお肉やホワイトソースの原材料なんかを結構輸入していました。2007年、世は円キャリートレード(死語)と呼ばれる円売り投機の全盛期、AUD/JPYも100円を超えていたんですよ。GBP/JPYなんて240円でしたからね…。サイゼは輸入企業なので円安だと困る。そこで為替をヘッジするためのデリバティブ契約をBNPパリバを相手に組みました。

当時のAUD/JPYが105円。しかし、このスワップ取引を組めば、AUD/JPYが78円で毎月買えます、しかも2年間。瞬間で2700 pips儲かるんですよ、控えめに言ってヤバくないですか?

でも世の中に美味しい話はないし、タダの昼食は無い(パパ活女子を除く)のはご存知の通り。

AUD/JPYが78.00 円より円高になった場合、それ以降の約定レートは以下 の式で計算される。

【前回約定レート】×【78.00/FX】

円/豪ドル 下限=78.00 円、上限=600.00 円

要は78円より円高にいってしまった場合、今の水準より高いレートでAUDを買わなくてはならないということ。しかも、計算式が豆をぶつけられても掴んで食べちゃうくらいの鬼でして、恐ろしいスピードと勢いで約定レートが跳ね上がっていきます。また、一旦78円より円高に行くともう元には戻りません。ラチェット効果とか言います。お暇な方は計算機でピポパどうぞ。最悪のケースではAUD/JPYを600円で買わなくてはならない羽目になるという…ね。

安くて美味しいものを提供しようとした結果がこれでした…。ちなみに現在、同じようなデリバティブを契約できるかと言うと無理。リスク管理とかガバナンスとかではなくて、この世に金利差が存在しなくなってしまったからです。

ちなみにデリバティブのある値段に到達することを「トリガーを弾く」と言います。なので当時は「ミラノ風トリガー」と揶揄したものです。サイゼリヤ関係者がいたらごめん。

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