はじめに
私はビットコインの支持者で、保有者でもあります。ブロックチェーンは今後、金融関係だけはなく社会にも大きな影響を与える技術だと思っています。J.P.モルガンのCEOの発言は余計なお世話だと思います。
一方、ダイモンCEOの発言で暴落させておいてJ.Pモルガンが底値で買いまくった、というネタが流れておりますが、これは色んな勘違いが含まれております。全力2階建てで「勘違いやで」とまとめられたのですが、いまだにRTで回ってきますし、日本の暗号通貨コミュニティの大御所ですらそう信じているように見受けられるので、ちょっとだけ書いてみます。
ビットコインをコケにしたJPモルガン、裏でビットコイン大量購入との勘違いで目の敵に https://t.co/lSU6vYtlKQ
— 全力2階建 (@kabumatome) 2017年9月16日
しかし、J.P,モルガンが、そんなウ〇フや猫〇長のようなことやるんですかね…。
ビットコインのようでいて、ビットコインではないもの
発端となった画像はこちら
オリジナルのURLはこちら。元ソースを見るの・大事。
Kursdata for BITCOIN XBT (BITCOIN XBT)
ちょっと見慣れない文字ですが、スウェーデン語のようです。私はスウェーデン語が出来ないので間違っていたら指摘してどうぞ。どうやらナスダック・ストックホルム取引所のサイトで、ビットコインに連動する証券の情報ページです。
いろいろな方が指摘されていますが、これはビットコイン取引所におけるビットコインの売買記録ではありません。(ビットコイン取引所でだれが買ってだれが売ったかって情報分かりますか? 暗号通貨は匿名性が特徴じゃなかったでしたっけ?)
では何かというと、ストックホルム取引所に上場している、ビットコインの価格に連動するETN(Exchange Traded Note)です。ETNはETFの親戚ですが、その違いはYahoo!でググってどうぞ、と言いたいところですがこちら。
ETNとETFの違い – ETNの基礎 – 東証ETF活用プロジェクト 東証ETF
ポイントは現物の裏付けがあるかどうか、発行体の信用リスクです。ETNはビットコインの裏付けすらない、ビットコインのようでいてビットコインでは無いものです。
×)J.P.モルガンはビットコインを買っていた
〇)J.P.モルガンはビットコインに連動するETNをナスダック・ストックホルム取引所で買っていた
でも買ってたのは本当じゃん!
とはいえ買っていたのは本当でしょう? 残念ですが、ここで出てくる買い手、売り手もいわゆる「手口」に過ぎません。株先物を取引する方ならよくご存じかと思いますが、どの業者が取引しているかを示しているだけです。下記は日経平均、TOPIXの取引参加者別取引高(手口上位一覧)
要は「投資家がどの証券会社を通じて取引したか」を示しているに過ぎないのです。
×)J.P.モルガンがETNを自分の勘定で買った
〇)J.P.モルガンが自社の顧客のためにETNを買った
素朴な疑問
そもそも、J.P.モルガンの何倍も買っている業者さんいますよね…。モルガン・スタンレーなんかJ.P.モルガンの16倍もネットで買ってるんですが、これは気にしないのはなんで? 二番手三番手の北欧系銀行と思しき買い手を気にしないのはなんで? J.P.憎し、が先に来てるんじゃないかと。
しかし、J.P,モルガンが、そんなウル〇や猫組〇のようなことやるんですかね…。
J.P.モルガンに問えること
というわけで、「J.P.モルガンが専ら自己の利益のためにCEO発言で暴落させておいて底値で買い漁った」ていうのは色んな勘違いを含んでいますので、まだそういうこと言っている人がいたらこのエントリを教えてあげてどうぞ。感情で飛びついての批判は控えたほうが、ビットコインの長期的で持続的な発展につながると思います。
しかし、J.P.モルガンにも問えることがあります。自社のCEOが「詐欺」呼ばわりしたビットコイン、そのものではなくともその価格に連動する金融商品を業として取り扱ってよかったのか、ということです。ポリシーに反しているのはそうだと思うので、責めるべきはそこなのかな、と個人的には思います。
アイキャッチはダイモンとダイヤモンドを掛けてみました。