つみたてNISAとは
2018年1月から「つみたてNISA」が始まる。非課税投資枠が年間40万円、投資期間は最長20年と、これから資産形成を行う年代に寄り添った税制優遇措置だ。無理なく少額で長期にわたり非課税で運用できるので、始めやすく、続けやすく税制メリットも大きい。詳しくは投信1の解説を見てほしい。
金融庁主導 お上から見るか
ただ、つみたてNISAの投資対象は金融庁が認めたものに限っている。税制優遇制度なので官主導なのはそうなのだが、特にこのつみたてNISAは金融庁の思い入れが強い制度のように思う。それは金融庁森長官の講演からも見て取れる。激おこである。
「日本の資産運用業界への期待 日本証券アナリスト協会 第8回国際セミナー 森金融庁長官基調講演
現状の日本の投信ビジネスに対して激おこで、割高な手数料、適合性、乗り換え・回転売買など結構強く非難している。それならばと、つみたてNISAの投信の適格要件は、ノーロード、低い信託報酬、アクティブファンドにはさらに厳しい要件を求めている。要件を見たすアクティブファンドは独立系を中心に5本程度だという。とくに厳しいのが「信託期間の2/3で資金流入超」というもの。投信を乗り換えさせる回転売買が常態化していた販売会社を鑑みるに、このハードルはとても高い。金融庁からすればザマァである。
手数料を下げて対応
運用会社にとっては厳しい条件を突き付けられたわけだがやらないわけにはいかない。アクティブファンドは条件を満たすのはもう間に合わないので、パッシブのほうで適格になるよう手を打ってきている。
「つみたてNISA」18年始動、対象投信120本に(日経新聞)
当初は50本程度だった適格商品だが、信託報酬を引き下げたり、あるいは信託報酬の低いもので新商品として出したり、DC専用のものを衣替えしたりと、鋭意対応している。
正直、つみたてNISA自体は「商売にならない」。年間40万円、信託報酬が0.5%で2000円にしかならない…。しかもそれを運用会社と銀行/証券とで分け合うのだ。「説明資料のコスト、郵送費すら出ないよぉぉ」という嘆き節があるという。
というわけで
打ち上げ花火は上から見るのと下から見るのとでは、だいぶ違って見えるらしい。
つみたてNISAはわれわれ個人投資家にはありがたい制度だ。運用業界の方々には感謝しつつ、使えるものはしっかり使いたい。花火は特等席で観るのが一番いいのだ。